加々美佳呼/紅会(本部工房) 共作
四年前、デザイナー・加々美佳呼さんと共同して、イブニングドレス「桜」の制作がスタートしました。 一年半後、最初の図案のイメージのドレスは繍い上がりましたが、加々美さんのどうしても妥協できないとのお気持ちから二倍近い繍い足しが要請されました。一旦、竈(かまど)の火を落としてしまった工房の状況から、もう一度仕切り直して完成するには、心も時間も、以前にも増して熱いエネルギーが必要でした。ようやく刺繍が終り、ドレスに仕上げる加々美さんからの電話の中で、唐突に「(繍は)魂の道具でしたね」との言葉に、「手は精神の出口」と初代会長 斎藤磬から学び、努めてきたことの有り難さを噛みしめました。加々美さんとの共同に始まり、工房のほとんどの人の手が入り、工房研修の海外会員の手も加わって仕上がった、このドレスを世界展の場で披露できますことは、大勢の人々の共同の賜であり、また故斎藤和子の夢の実現でもあります。この会場に展示できますことを本部一同、感謝いたしております。
関原トキ子/紅会(本部工房) 共同展(2003年)