皆様こんにちは、今回は繭から出る糸についてお話しさせて頂きます。
繭から糸を挽いていると「始めはどこから糸を出すんですか?」と聞かれる事がよくあります。
まず、繭を良く煮てからワラボウキの様なもので繭の表面を擦ると糸の塊りが出てきます、この塊をどんどん手繰っていくといずれ1本の糸になってゆきます。
糸の塊りは刺繍糸では使えませんので、織物をやっている方に使って頂くなど限られた使い方になってしまいますが、お蚕様が命がけで吐いた糸ですのでもっと色々な使い方を見つけていきたいと思っています。
ちなみに糸1本の断面は不揃いな形をしていますが、円と見たときの直径は約17.4マイクロメートル(約0.0174ミリメートル)で、人間の髪の毛は一般的に、成人の平均的な髪の太さはで約0.08ミリメートルのようですので繭からとれる糸の細さが分かります。
繭からとれる糸を電子顕微鏡で見るとさらに細い繊維の集まりであることが分かりますが、そのお話はまた今度させて頂きます。
写真は蚕に繭を作ってもらう為の道具で、明治時代から昭和頃までつかわれていた 藁蔟(わらまぶし)と、大正時代から現在も使わている 回転蔟(かいてんまぶし)です。