日本刺繍は絹糸を使いますので、日本刺繍の第一工程は養蚕かもしれません。
今回は養蚕の第一工程である『掃立(はきたて)』と言う話をさせて頂きます。
蚕は卵から一生が始まります。
例えば春繭を作るためには5月の始め頃、種屋さんからA4サイズ程の大きさの「種紙」と言うものが養蚕農家や共同飼育所に向けて送られてきます。
消毒をし清潔な温度約28℃、湿度約80%を目標とした部屋で種紙を開くと孵化したばかりの蚕と卵の殻が付いていますので、刻んだ桑の葉を与え、蚕が葉に上ってきたら飼育するため台に羽ぼうきで丁寧に掃いて落とします。
これが『掃立』とよばれる作業で、ここから一か月ほどの養蚕の始まりです。
紅会でも以前、養蚕をしていましたが、「無事に繭をつくってくれますように」と期待と不安が入り混じる気持ちだった事を思い出します。