染帯「菊変化」の前模様の刺繍をしています。
月: 2018年4月
染地名古屋帯 藤波
毎年春の紅会は咲き誇る花々でいっぱいです。
「水仙」
暑くなったり寒くなったりの季節です。
日本刺繍作品展「全国展43回」
3月27日から4月1日まで、全国展《東京会場》が開催されました。入り口の工房作品は、掛軸の「桃に小禽(ことり) ―オオルリ―」続いて額が4点「薔薇に小禽 ―コムクドリ―」「芙蓉に小禽 ―ルリカケス―」「紅葉に小禽 ―オオルリ―」「梅にメジロ ―メジロ―」
いずれも、伊藤若冲の「動植綵絵」全30幅の中から、小禽 のいる部分の刺繍作品で
す。
若冲のうす塗りの絵具の描法から、刺繍でも“透けた感じ“の表現を試みました。
桃の花弁、紅葉の葉などのほか、小禽の胸の部分をぬい埋めずに透かせています。
また、会場奥には、東京研繍科生による能衣装が展示されました。
「紅地舞鶴若松模様縫箔」大蔵流狂言方能楽師 善竹大二郎氏に着用していただくた
めの制作です。
狂言方では、麻地の地味目のものが多くみられますが、この縫箔(ぬいはく)は
紅色の絹地に、絹糸と金糸で大小31羽の飛翔する鶴と裾には若松の刺繍が施された華やかな衣装です。
大二郎氏によると「縫箔は、基本女役に使います。例えば、『節分(セツブン)』という狂言で、鬼が一目惚れしてしまう美しい女性とか、『二九十八(ニクジュウハチ)』では、男が神様のお告げに従い求婚した女性(醜女)でも使用致します。」とのこと。
引き続いて、大阪・名古屋と会場を移して多くの作品が展示されます。
是非とも、刺繍の魅力を会場で直にご覧いただければと思います。